天台寺門宗の朝夕の勤行として代表的なものが法華懺法と例時作法です。
天台では、一般に「朝題目に夕念仏」といわれ、『梁塵秘抄』にも「山寺行ふ聖こそ あはれに尊きものはあれ 行道引声阿弥陀経 暁懺法釈迦牟尼仏」と歌われています。
天台寺門宗では、朝座に法華懺法、夕座には阿弥陀経を中心とする例時作法が常用され、最も基本的なお経となっています。ここから一般の檀信徒の仏事法要にも法華懺法や例時作法を行うのが通例となっています。
天台顕教系の代表的法要である「法華懺法」は、天台大師撰『法華三昧行法』によるものです。主として朝夕2座の勤行のうち朝時に行われ、『梁塵秘抄』にも「一心敬礼声澄みて 十方浄土に隔てなし 第二第三数ごとに 六根罪障罪滅す」と歌われる通り、法華経を読誦することにより自己の犯した罪を懺悔する行法という意味で、私たち一人一人が自己の眼・耳・鼻・舌・身・意の6根を清浄にし、世の中を浄めていくという大乗仏教の精神に基づいています。
例時作法は、主として朝夕2座の勤行のうち夕時に行われる阿弥陀経を中心とする法儀で、天台大師が『摩訶止觀』の述べた四種三昧のうち常行三昧に当たります。大旨は、阿弥陀如来の西方極楽浄土へ往生得生することを目的とする礼懺儀です。また、この行業の功徳を先亡聖霊へ回向する趣旨で、本宗では葬儀や仏事にも用いられます。
日常勤行式(朝課)
1. 三條錫杖 |
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2. 観音経偈(普門品偈) |
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3. 般若心経 |
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4. 智証大師宝号 |
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5. 回向文(総回向) |
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日常勤行式(晩課)
1. 懺悔文 |
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2. 開経偈 |
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3. 十如是 |
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4. 自我偈(如来寿量品偈) |
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5. 弥陀讃 |
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6. 円頓章 |
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7. 舎利礼文 |
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8. 光明真言 |
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9. 随求陀羅尼 |
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10. 本覚讃 |
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11. 観経文 |
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12. 念仏 |
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13. 回向文(念仏回向) |
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参考文献
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