去る平成十九年五月二十六日、山口県下関市の円陵寺(中原圓政住職)に於いて、福家俊明管長猊下ご親修のもと、関山金色不動明王像大石像の落慶法要が厳修された。
完成した石像は、総本山三井寺の秘仏・金色不動明王像(黄不動尊)を忠実に模刻したもので、御影石製、像高三・八メートル、台座からの総高は五・五メートル、総重量十一トンに及ぶ大石像である。 総工費は一千二百万円、檀信徒の浄財をもってあてられた。 石像建立に当たっては、中原住職の「親が子を子が親をし、世界各地では戦争やテロが頻発し、誰もが人の命の尊さを忘れかけている現代社会が少しでも平和になるように」との願いを込めて発願された。
制作には、総本山の福家管長猊下から秘仏模刻の特別の許可を得て、一年余の時間をかけて現代の名工の一人、長岡山大佛師(北海道滝川市)によって完成された。 智証大師が感得された根本像に違わぬ堂々とした力強いお姿で、独特の衣紋や筋肉の表現など細部まで正確に再現されている。 世に高名な黄不動尊の唯一の模刻石像として、今後は、関門海峡を見下ろす圓陵寺から下関市を見守ることになった。
落慶法要は、晴天にも恵まれ、午前十一時に山伏の法螺三唱で始まり、会行事を先頭に福岡第二宗務支所の僧侶を中心とした式衆、中原住職、福家管長猊下の順で境内を練り歩いた。
法要では、来賓の京都三千院門跡ご門主・小堀光詮猊下、山村重彰下関市副市長(江島潔市長代理)はじめ壇信徒約三百名が見まもる中、大石像の除幕が行われ、大導師管長猊下により開眼供養が厳かに執り行われた。
法要後は、管長猊下並びに中原住職より本石像の建立に多大な貢献のあった長岡大佛師、関山石材代表者はじめ多額の浄財を寄進をされた十五名の方々に感謝状と記念品が贈呈された。
次いで、下関市長の祝辞の後、中原住職より「今回の法要が無事円成できましたことは、これ一重にご本尊のご加護、開山円正大和尚尊霊のご冥護の賜物で、万感胸に迫り言葉もありません。
遠路ご多用にもかかわりませず、ご臨席賜った管長猊下、三千院ご門主猊下をはじめ多大なご尽力をいただいた福岡第二宗務支所の方々はじめ式衆、関係者の皆様に感謝します。 これからは、一人でも多くの方にご来山いただき、お不動さまに手を合わせ、心を豊かにしてほしい」と謝辞が述べられた。
その後、本堂において、来賓の小堀三千院ご門主猊下による落慶記念の法話が行われた。
小堀猊下は、福家管長猊下とは同じ戌年生まれで、長年に亘るご厚誼をいただいており、管長猊下との長年のお付き合いをときおりユーモアを交えてお話しなさるなど、堂内を埋めた参列者は、吸い込まれるように耳を傾け、楽しい中にもありがたい法話に感激もひとしおの面持ちであった。
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