平成二十六年十月十八日、琵琶湖を望む長等山にも秋の訪れを感じさせる季節、総本山井寺(園城寺)において開白を迎えた「宗祖智証大師生誕一千二百年慶讃大法会」は、錦秋深まる十一月二十四日、無事に円成を迎えた。
ことに十月二十八日から十一月三日までの大法要期間では、連日にわたり宗門を挙げて各種の大法要を厳修し、あわせて縁故宗派の代表として天台宗(総本山延暦寺)、天台真盛宗(総本山西教寺)による慶讃法要、宗内各地区の教区法要、さらには三井古流煎茶道、三千家の各お家元による献茶式なども奉修された。
三十八日間に及ぶ大法会では、西国十四番札所のご本尊・如意輪観音像(重文)をはじめ唐院の奥深くに安置される智証大師像(国宝)や黄不動尊(重文)など日頃は拝することのできない秘仏が開扉された。また観音堂の書院では俳優・井浦新さんの写真展も開催され、約五万人の参詣の人々で境内は賑わいをみせた。
また、大法会期間も結願の迫った十一月十九日からは、結縁潅頂会が唐院において厳修され、五百人を超える信徒が日本三不動として名高い黄不動尊の根本像である秘仏・金色不動明王画像(国宝)と仏縁を結ばれた。
平成二十六年十月十八日、西国第十四番札所ご本尊・如意輪観音さまのご開帳法要で幕を開けた宗祖智証大師生誕一千二百年慶讃大法会は、いよいよ十月二十八日から七日間ににわたり奉修される大法要期間を迎えることになった。
本宗僧侶は、大法要を目前に控えた二十五日から続々と本山に結集し、道場となる諸堂の荘厳、打ち合せなど深夜まで準備に奔走していた。七日間の大法要期間は、三十八日間の会期の中核となるもので、僧侶たちは、平成二年の祖大師一千百年大遠忌法要以来の緊張感に包まれていた。